不登校の中学生にフリースクール｜親が今できること

子どもが不登校になり、「このままで大丈夫なのか」「学校に戻れなかったらどうしよう」と不安でいっぱいになっていませんか。

中学生の不登校はめずらしいことではなくなりましたが、いざ自分の子どもが当事者になると、親としてどう動けばよいのか分からなくなるものです。

そのなかで近年よく耳にする選択肢が「フリースクール」です。

とはいえ、「フリースクールって本当に意味があるの？」「将来の進学や高校受験に不利にならない？」といった疑問や不安も多いはずです。

この記事では、「不登校の中学生にフリースクール｜親が今できること」について、フリースクールの基礎知識や選び方、親が今日からできる具体的な関わり方まで、順番に分かりやすく解説します。

読み終わるころには、「何をすればいいのか」が整理され、今より少し気持ちが軽くなるはずです。

不登校の中学生にフリースクールを検討するときの基本ポイント

まずは、「不登校の中学生にフリースクールを利用すること」そのものの意味やメリット・デメリットを整理しておきましょう。

「不登校の中学生にフリースクール｜親が今できること」を考えるとき、フリースクールを「学校の代わり」ではなく、「子どもの安心できる居場所とリハビリの場」として捉える視点が大切です。

不登校の中学生が増えている背景

文部科学省の調査では、中学生の不登校は年々増加しており、どの学校にも複数名は不登校の生徒がいる状況になっています。

背景には、いじめや人間関係のトラブル、学力面のつまずき、発達特性、家庭環境の変化、コロナ禍をきっかけにした生活リズムの乱れなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

ポイントは、「不登校は特別な子どもの問題」ではなく、「誰にでも起こりうる状態」であるということです。

そのため、親が「うちの子だけおかしい」「育て方を間違えたのでは」と自分を責めすぎないことが、子どもを支えるうえでとても大切になります。

フリースクールという選択肢の役割

フリースクールは、学校に行きづらくなった子どもが、自分のペースで学んだり、人と関わったりできる民間の学び場です。

学校のように一律のカリキュラムや出欠管理にしばられず、「安心していられること」「自分を認められる経験を重ねること」を重視しているところが特徴です。

そのため、不登校の中学生にフリースクールを活用することは、「再び学校に通うための準備」でもあり、「学校に戻るかどうかにかかわらず、社会につながる練習の場」として意味があります。

特に、昼夜逆転や人間関係のトラウマなどで生活リズムが崩れている場合、いきなり学校復帰を目指すより、少人数で安心できるフリースクールでリハビリしていくほうが、結果的にスムーズな復帰につながることも多いです。

フリースクール利用のメリットとデメリット

不登校の中学生にフリースクールを紹介する前に、親としてメリットとデメリットを把握しておくと、子どもとも冷静に話し合いやすくなります。

メリット	デメリット
少人数で安心できる環境で過ごせる 本人のペースで通う頻度や活動内容を決められる 同じような悩みを持つ仲間や理解ある大人に出会える 生活リズムの改善や外出のハードルを下げられる 高校進学に向けた学習サポートを受けられる場合がある	公的な学校ではないため、学校と違う点が多い 月謝などの費用負担が発生する 場所によって質やサポート内容に差がある 地域によっては通える範囲に選択肢が少ない 学校側との連携を親が主体的に行う必要がある

フリースクール自体が「魔法の解決策」というわけではありません。

それでも、「家と学校だけ」という選択肢に、「自分に合った第三の居場所」が加わることは、多くの中学生にとって大きな救いになります。

学校との出席認定や成績への影響

フリースクールに通うと、「出席扱いになるのか」「内申点や進学にひびかないか」は、親にとって非常に気になるポイントです。

現在は、一定の条件を満たせば、フリースクールなど校外の施設での学習も、在籍校の判断で出席扱いとされる制度があります。

具体的には、在籍校とフリースクールが連携し、学習計画や支援内容を学校が把握できていることなどが条件になります。

ただし、最終的な判断は在籍校にゆだねられるため、フリースクールに通う前に、学校側と相談し、どのような扱いになるのか確認しておくことが重要です。

また、内申点だけが進路のすべてではありません。

通信制高校やサポート校、総合選抜を行う高校など、不登校経験者を受け入れている進路は増えており、フリースクールでの取り組みを評価してくれる学校もあります。

フリースクールに通うタイミングの考え方

不登校が始まってすぐにフリースクールを勧めるべきか、それともある程度休ませてからにするべきかは、子どもの状態によって変わります。

不登校の中学生にフリースクールをすすめるときは、「早く行動しなければ手遅れになる」という焦りより、「今の子どもの心身の状態に合っているか」を基準にすることが大切です。

不登校の中学生に合うフリースクールの選び方

一口にフリースクールといっても、雰囲気や方針、サポート内容はさまざまです。

「不登校の中学生にフリースクール｜親が今できること」を具体的に考えるうえで、地域の選択肢を知り、我が子に合いそうな場を見極めていく視点が必要です。

フリースクールの主なタイプ

フリースクールは法律上の定義があるわけではないため、運営主体も活動内容も実に多様です。

まずは、よくあるタイプを把握しておくと、情報収集がしやすくなります。

同じ「学習支援型」でも、宿題やテキスト中心のところもあれば、プロジェクト学習や探究活動を多く取り入れているところもあります。

ホームページの情報だけで判断せず、必ず見学や体験を通して雰囲気を確かめることが大切です。

子どものタイプ別に見るフリースクール選び

フリースクールは、「偏差値」ではなく「相性」で選ぶことが重要です。

子どもの性格や、いま困っていることから逆算して、合いそうなタイプを検討してみましょう。

子どもの状態・性格	向きやすいフリースクールの傾向
人見知りで集団が苦手	少人数制で、個別対応の時間が多いところ
ゲームやパソコンが好き	プログラミングやデジタル活動を取り入れているところ
学習の遅れを心配している	学習サポートや受験対策が整っているところ
人と話すのは好きだが学校はつらい	イベントや交流活動が豊富な居場所型
発達特性やグレーゾーンがある	発達障害への理解や専門スタッフがいるところ

「この子にはどんな環境が合うのか」を、親だけで決めつけず、子どもと一緒に話し合いながら探していく姿勢が大切です。

見学や体験で確認したいポイント

候補となるフリースクールが見つかったら、必ず親子で見学や体験に行き、次のようなポイントを確認しましょう。

• スタッフの雰囲気や子どもへの声かけの仕方
• 通っている子どもたちの表情や過ごし方
• 1日の流れや、自由時間と活動時間のバランス
• 通う頻度や時間帯の柔軟さ
• 在籍校との連携や出席認定の対応状況
• 費用や追加料金の有無、補助制度の有無

可能であれば、スタッフと個別に相談する時間をとり、子どもの現状や心配していることを伝えたうえで、「どのような関わりをしてもらえそうか」を具体的に聞いてみるとよいでしょう。

費用と支援制度の現実的な話

フリースクールは公的な学校ではないため、基本的に月謝や入会金が必要です。

地域や運営主体によって金額はさまざまですが、月数万円程度かかるケースも多く、家計への負担が気になる方も少なくありません。

一部の自治体では、フリースクールに通う家庭への補助金制度や、民間団体による奨学金制度が用意されています。

また、「教育支援センター（適応指導教室）」など、自治体が無料で運営する居場所や学習の場もあります。

不登校の中学生にフリースクールを検討する際は、候補を絞り込むのと同時に、自治体の教育相談窓口や児童相談窓口に連絡し、利用できる支援制度がないか確認しておくと安心です。

オンラインスクールや家庭教師の活用

外出が難しい段階や、近くに通いたいフリースクールがない場合、オンラインのフリースクールや家庭教師、オンライン家庭教師も選択肢になります。

画面越しであっても、安心して話せる大人や、同年代の仲間とつながれることは、孤立感をやわらげ、少しずつ生活リズムを整えるきっかけになります。

また、「まずは週1回オンラインで」「慣れてきたら通学も組み合わせる」といった段階的な利用ができるところもあります。

不登校の中学生にフリースクールを紹介する際、「通えなければ意味がない」と狭く考えず、オンラインも含めて柔軟に組み合わせていくとよいでしょう。

親が今すぐできる子どもへの関わり方

フリースクールの情報を集めることと並行して、親が「今日からできること」もたくさんあります。

「不登校の中学生にフリースクール｜親が今できること」を考えるとき、フリースクールはあくまで選択肢の一つであり、日々の家庭での関わりが、子どもの回復に大きな影響を与えます。

「学校に行きなさい」を手放すこと

不登校が始まった直後は、つい「明日は行ける？」「そろそろ行かないと」と、学校の話題ばかりになってしまいがちです。

しかし、本人は「行けない自分が一番よく分かっている」ため、その言葉は責められているように感じられ、親子関係がこじれる原因にもなります。

一度、「学校に行かせること」を親の最優先目標から外し、「まずは家で安心して過ごせること」をゴールに置き直してみてください。

「今日は学校のことは言わないから、安心して休んでいいよ」と伝えるだけでも、子どもはほっとして、親への信頼感を取り戻しやすくなります。

子どもの気持ちを受け止める聞き方

子どもがポツリと本音を話してくれたとき、親の返し方次第で、その後も話してくれるかどうかが大きく変わります。

次のような聞き方を意識してみてください。

• 否定や説教をせず、「そう感じているんだね」とまず気持ちを繰り返す
• すぐに解決策を示さず、「それはつらかったね」と共感を伝える
• 「どうして？」より「どんな感じ？」と感情を引き出す質問をする
• 言葉に詰まったら、「言いにくかったら無理に話さなくていいよ」と逃げ道を用意する
• 話してくれたこと自体を「話してくれてうれしい」と肯定する

不登校の中学生にフリースクールをすすめるにしても、まずは親子の信頼関係が土台です。

「この人には本音を言っても大丈夫」と感じてもらえる聞き方を意識してみましょう。

生活リズムを整えるための小さな工夫

不登校が続くと、昼夜逆転や食生活の乱れなど、生活リズムが大きく崩れやすくなります。

いきなり「明日から朝7時に起きなさい」と言っても難しいので、次のように小さなステップから始めてみてください。

生活リズムが整ってくると、フリースクールや外出へのハードルも自然と下がっていきます。

「完璧」を目指さず、「昨日より少しだけ前に進めたらOK」という感覚を、親自身が持つことが大切です。

親自身の気持ちを守る方法

子どもの不登校は、親にとっても大きなストレスです。

誰にも相談できずに一人で抱え込んでいると、イライラや不安が爆発し、結果的に子どもにきつく当たってしまうこともあります。

そうならないために、親自身もサポートを受けてよい存在です。

• 学校のスクールカウンセラーや外部カウンセラーに、親として相談する
• 自治体やNPOが行っている不登校親の会に参加してみる
• 信頼できる友人や家族に、今の正直な気持ちを聞いてもらう
• 一日の中で「自分のためだけの時間」を10分でも確保する

「親がしっかりしなければ」と力を入れすぎると、長期戦になったときに持ちません。

肩の力を抜きながら、「完璧な親でなくていい」と自分に言い聞かせることも、子どもを支えるうえでとても大切なことです。

学校や専門機関との連携でできること

不登校の中学生にフリースクールを利用する場合でも、在籍校や専門機関との連携は重要です。

「不登校の中学生にフリースクール｜親が今できること」として、親が橋渡し役となり、周囲の大人たちとチームを組むイメージを持っておくとよいでしょう。

学校との連携の取り方

不登校が続くと、学校との連絡が気まずく感じられ、「しばらく連絡していない」という状態になりがちです。

しかし、在籍校は子どもの学籍や進路に直接関わる重要な存在です。

次のようなポイントを押さえて連携をとってみてください。

学校も、「どう関わればいいか分からない」と悩んでいることが多いものです。

親から定期的に情報を伝えることで、学校側も柔軟な対応を考えやすくなります。

教育支援センターや相談窓口の活用

多くの自治体には、「教育支援センター」「適応指導教室」「子ども支援ルーム」など、不登校の子どもや保護者を支援する公的機関があります。

これらの施設では、学習支援や居場所の提供、カウンセリング、進路相談などを無料または低額で受けられる場合がほとんどです。

不登校の中学生にフリースクールを検討する前段階として、こうした公的な場を一度利用してみるのもよい方法です。

また、各自治体の教育相談窓口に電話をすると、地域のフリースクール情報や利用できる支援制度について教えてもらえることもあります。

医療機関や専門家に相談する目安

不登校の背景に、うつ状態や強い不安、発達特性、家庭内の暴力などがある場合、医療機関や専門家との連携が欠かせません。

次のような様子が見られる場合は、一度小児科や児童精神科、心療内科などに相談してみる目安になります。

医療機関への受診は、「病名をつけること」が目的ではなく、「今の状態を専門家に評価してもらい、必要な支援を受けること」が目的です。

フリースクールと医療機関の両輪で支えていくケースも多いため、早めに相談先を確保しておくと安心です。

フリースクール利用から進路を考える視点

不登校の中学生にフリースクールを利用することを考えるとき、多くの親が不安に感じるのが「高校進学」や「その先の進路」です。

「不登校の中学生にフリースクール｜親が今できること」として、いまの一歩と将来への安心感のバランスをどう取るかを整理しておきましょう。

高校進学の選択肢は想像以上に多い

現在は、全日制の高校だけでなく、通信制高校、定時制高校、高校連携のサポート校など、さまざまな学びのスタイルがあります。

なかには、不登校経験者を積極的に受け入れ、フリースクールでの取り組みを評価してくれる学校も増えています。

フリースクールのなかには、高校進学の情報を多く持つスタッフがいて、受験の相談や願書の書き方、面接対策などをサポートしてくれるところもあります。

「中学で不登校になったら人生が終わる」ということは決してありません。

早いうちから「いろいろな進路がある」と親が知っておくことで、子どもにも安心感を伝えやすくなります。

学習の遅れをどうカバーするか

長期の不登校で多くの家庭が心配するのが、「学習の遅れ」です。

ただし、教科書のすべてを完璧に追いつく必要はありません。

大切なのは、「基礎的な読み書き計算」と「自分で調べて考える力」を、本人のペースで取り戻していくことです。

状況	現実的な対策
ほとんど勉強していない	1日5分のドリルやアプリから、短時間でできるものを始める
一部の教科だけ苦手が目立つ	得意科目を伸ばしつつ、苦手は重要単元にしぼって復習する
高校受験を視野に入れている	フリースクールや家庭教師など、外部の学習支援も組み合わせる
通信制高校などを検討している	入試科目や必要な学力を確認し、優先順位をつけて学ぶ

不登校の中学生にフリースクールを利用する際、学習にどれだけ重きを置くかは、子どもの状態に合わせて柔軟に考えましょう。

まずは心のエネルギーを回復させることを優先し、余力が出てきたタイミングで徐々に学習量を増やす流れが現実的です。

「今を生きること」と将来への見通し

親としては、「高校はどうするのか」「このままずっと家にいたらどうなるのか」と、つい先のことを考えて不安になってしまいます。

一方で、子どもにとっては、「今この瞬間をどう生き抜くか」で精一杯です。

• 将来の話をするときは、子どもの調子が良いときを選ぶ
• 「絶対にこうしなさい」ではなく、「こんな道もあるよ」と選択肢として伝える
• 「どの道を選んでも、あなたの味方でいる」というメッセージを繰り返す
• 具体的な情報が必要なときは、フリースクールや専門家と一緒に整理してもらう

「不登校の中学生にフリースクール｜親が今できること」は、目の前の子どもの安全と安心を守りながら、「いつか動けるようになったときのための選択肢」を一緒に少しずつ増やしていくことだといえます。

不登校の中学生と親が一歩踏み出すために

不登校の中学生にフリースクールを検討し始めたあなたは、すでに「子どものためにできることを探している」親です。

完璧な対応ができなくても、迷いながら試行錯誤を続けていること自体が、子どもにとって大きな支えになっています。

フリースクールは、不登校の子どもたちにとって、「学校か家か」だけではない第三の居場所になりうる場です。

ただし、すべての子に合う万能な解決策ではないからこそ、子どもの様子をよく観察しながら、「合いそうな場」を一緒に探していく姿勢が大切です。

この記事でお伝えしたように、

• まずは「学校に行きなさい」を手放し、家を安心できる場所にする
• 子どもの気持ちを否定せず、話してくれたこと自体を大切にする
• 生活リズムを小さなステップで整えていく
• 学校や教育支援センター、医療機関などと連携し、親一人で抱え込まない
• フリースクールやオンラインの場も含め、子どもに合う選択肢を試してみる

といったことは、どのご家庭でも今日から少しずつ始められます。

「不登校の中学生にフリースクール｜親が今できること」は決して一つではありません。

焦らず、比べず、親子のペースで一歩ずつ進んでいければ、その歩み自体が、必ず子どもの未来につながっていきます。